2012/6/13 水曜日

続・リードプレート

Filed under: Harmonica — koei @ 23:59:14

先日の記事のコメントで「10ホールファビュラスもワイヤーカットか?」という質問に対して、情熱の営業マンYさんに聞いてみたところ、回答メールをいただきました。いろいろ興味深く、みなさんにも知ってほしいな、と思うことあったので、新たにアップします〜

10穴のファビュラス プレートはプレス製作です。
リードを再設計(音色と耐久性を解析しロング化)、リードプレートの生産で初めてシェービングに挑戦、採用しました。
その後の開発商品である、MANJI、OLIVEに引き継がれています。
リードに関してはMANJI製品化の際、ファビュラスリードをベースに耐久性を考慮して再設計しています。

という回答メールをいただきました。さぁ、ここからはマニアックにいきましょう(笑)
さすがに10ホールもワイヤーカットだと10ホールにおいての常識的な価格設定内では無理なのでしょう。しかし10ホールにもクロマチック同様の響き(高域まで綺麗に伸びた音)を感じます。いまだに音色的にはファビュラスが一番のバランスだと思う。

しかしこの「シェービング」という言葉がポイントになってますね〜

プレスでガツン!と打ち抜く際に、1回で打ち抜かず、あえて2回かけて打ち抜くことをこのように呼ぶようですが、ここにとても大事な意味があります。

一番最初に(もう何年も前の話ですな)スズキの工場を見学した時に教えてもらい、実に印象に残っていることがあります。それがこのプレート打ち抜き(プレス)についてなのです。それまでの機械だと、その打ち抜かれた部分の表側と裏側が同一の幅にならない、ちょうど台形のような形になってしまい、裏側が広がってしまう、と。それだと精度に欠けて、空気ロスやバラツキが出てしまう。そしてその当時に新しくプレスの機械を自社で作ってしまったようですが、今までのよりもかなり強力なもので、何十トンだか何百トンだか忘れましたが、なんせものもの凄い圧力でプレスすることで、極限まで均等な幅にするのです、と言ってたのを良く覚えてます。その機械も実に印象的なものでした。こんな手の平サイズの薄い物を打ち抜くのに、やたらとバカデカイ物で、まるでそれはガリバーの世界だったよ(笑)そんな機械を使って、さらに2回にわけてプレスするわけです。わかりますよね!

「僕は君(プレート)を絶対に台形になんかしないぞ!」という熱い想いなわけですね(笑)

なんでこんなにこの時のやりとりが印象に残っているかと言うと、その当時(スズキを使う前)に使っていたハーモニカのバラツキ、個体差が激し過ぎて、もう本当にツラかったのです。そして、リードまわりの精度(プレートとの関係)がバラツキが出る一番の原因だ、というとこまで自分でも突き止めていたのです。どうすればこのバラツキを抑えられるのだろう…といつも考えていた。だからこの話を聞いた時にとても腑に落ちたのです。最近のスズキ10ホールがオーバーブロー、オーバードローがやり易いことの核心はココでしょう。「エンボス」という作業が行なわれるようになったのもこういう部分からなのでしょう。クロマチックにおいてもシリウスやグレゴアなどの濃厚な音色の核心がココでしょう。

そう考えるとMANJIやOLIVEってどんだけお得なモデルなんだろう…。ファビュラスを開発するのに膨大な時間と費用をかけたはずですが、ファビュラス以降は矢継ぎ早に新しいモデルがどんどん出てるのは、全てはファビュラスという「親分」からの再設計で作れるからなんでしょうな〜。

いや〜、ついリードプレートについて熱くなってしまったよ(笑)

6月22日 (金) 鎌倉「Daphne(ダフネ)」ライブ、よろしくお願いしますー!!

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