2008/4/29 火曜日

HAPPY BIRTHDAY!! Toots Thielemans!!

Filed under: Harmonica — koei @ 23:25:16

トゥーツのプレイについて少し書いてみたいと思います。とはいえ、実は僕はトゥーツのコピーって少ししかしてないんですね。ポイントだけ。ブルースハープや、スティービーワンダーは沢山「完コピ」しました。そうしていくうちに「コピーとは何か」に気付いたので、重要ポイントをコピーすれば、いろんなことが理解出来る、ということがわかってきたんですね。まぁトゥーツの完コピなんて沢山やっていたら、それだけで人生終わりそうだしね(笑)。

大雑把にザクっと乱暴にですが、年代別に検証してみましょう。

50年代〜60年代のプレイはかなりイケイケ。(ただ60年代あたりの音源ってそんなに持ってないので、ちょっと憶測ですが)

もう「どんだけ練習してるんだこの人」ってくらいに、溢れるバップフレーズ。先の先までのコード進行を見越したアドリブ。「ピッチ、鳴り」共にアゲアゲな音が基本。息のスピード速め&真っすぐ吹き込むブライトな音で鳴り響かせてます。ビブラートはこの頃すでに後々までやっているスタイルをあみ出していた模様。よく、ハーモニカは「味」だ、とすぐにそこに走る人も多い。でもトゥーツのように技巧の全てを超人レベルで極めた人が醸し出してゆく「味」とは次元が違うのだ!
アドリブのフレーズに関しては、いわゆる「バップフレーズ」が完全に土台になっているので、クロマチックハーモニカにおいてやりにくいフレーズも多く出てくる。それでもスウィングしているのはさすがとしか言いようがない・・・。ある意味、この時点ですでに完璧。速いパッセージでの粒立ちの良さ、歯切れ、ロングトーンでの伸びやかさ、その際の自然で滑らかなビブラートなどに注目♪やってみればわかりますが、並のプレイヤーは10年やっても、これの1つたりともこんなに美しくは出来ません!!

70年代〜80年代のプレイは様々な味を加え、アドリブにも新しい幅。

70年代以降は、録音環境も発達したという部分も影響を与えていると思うのですが、この頃からmp(メゾピアノ)〜p(ピアノ)にかけての小さめな音に対する表現の幅が広がっているように思えます。それにより得た、ハーモニカならではの「はかない音への表現」。はかない音はハーモニカにとって、他の楽器には代え難い深い魅力があるのです!ハーモニカはダイナミクス(強弱)が付けにくい楽器。やってみればわかりますが、並のプレイヤーはf〜mf〜mpあたりがいいとこ。mp〜pあたりで吹く人は逆にf〜ffが出せない。ちなみに聴いていて一番飽きるのはf〜mfくらいでずっと吹いてしまう人。実は結構多いと思う。トゥーツはこの時代、ff〜pあたりまでをフルに使っていた。ppは?それは次の時代に到来するのです♪

アドリブに関しては、「えっ?これってどうなってるの?」みたいのも飛び出す。もちろん各種スケール、代理コード的なもの、新たなハーモニーを加えたフレーズ等々を駆使している。しかしこれらを「クロマチックハーモニカ理論」で包んでいるのだ。これは僕が勝手につけた名称(笑)これは「たとえ外れていても、クロマチックハーモニカ的には滑らかに聴こえるから、これでいいんです!」という強引なもの(笑)他の楽器では楽に出来るフレーズでも、クロマチックではお手上げなことも多々。それよりも、出来るだけ自然で滑らかに繋がる音の組み合わせをチョイスしているのです。しかしこれこそが、他の楽器には出来ないクロマチックハーモニカならではの「味のあるフレーズ」とも言えるのではないでしょうか。まぁトゥーツのことだから、絶対確信犯ですけどね。

ピッチの微調整をしながら、それにまかなう音色変化と共に「ブライトなピッチが上がった音」から「ダーク、メローなちょっとピッチが下がった音」までを、それこそ重箱の隅をつつくかのごとくコントロールしています。成熟度、イマジネーション、体力と全てにおいて充実している時代ではないでしょうか。

90年代以降になってもトップランナーのその訳は?

トゥーツはず〜っとハーモニカ界のトップランナー。僕のなりに考えている「なぜなら」があります。それは、「その年代(年齢)ごとに無理をしない演奏をしている」ということ。90年代半ば以降はそれこそ「おじいちゃん」と言ってもいいでしょう。ハーモニカは吹き吸いで奏でる楽器。すなわち「呼吸そのもの」が「音楽」「メロディー」になるのです(まさに生命が宿っていますね、なんて夢のある楽器だ!)。30代と60代では、その呼吸も違うだろう。だから60代の人が30代の人と同じ呼吸は出来ないかもしれない。でも逆に30代の人は60代の人の呼吸は出来ない。これを音に置き換えてみよう。わかるよね?そして70代になればなおのこと。80代になれば、なおいっそう。つまり、トゥーツが無理せず、素直に吹いている限り、ずっと誰も追いつけないのだ。。。

若い時のトゥーツは息を比較的速いスピードで吹いていた。そこから、だんだん、ゆっくりになっていった。ハーモニカはね、息のスピードを上げると明るい音がして、ゆっくりにすると柔らかい音がするの。もちろん、それと同時に口の中の形、空気の角度など、様々な要因とバランスで音色は変化するのですが。呼吸においては年齢的なものも当然影響しているでしょう。それがある意味、良い方向へ導いて(トゥーツだから出来たことです)、この時代から究極的な柔らかい音を表現出来るようになったと言っていいのではないでしょうか。80年代までのプレイは「かっこいいー」「うっとり〜」「セクシー」って感じるのが多いですが、なんとなく聴いていたら、ふと何かがこみ上げてきて「涙が出ていた」みたいのって90年代以降のプレイにかなりの確率でヒットする気がする。それはいわゆる「pp」の表現力と言えるのではないでしょうか。これもやってみればわかりますが、ppで表情を付けながら吹くことがどれだけ難しいか・・・。ずっと進化(深化)し続けてきたトゥーツ・・・。

う〜ん、ダメだ!全然しゃべり足りねぇ!(笑)でもキリが無いから今年の誕生日はこの辺で(笑)トゥーツのプレイ、音色に関してのコツなどもいろいろありますが、文章で表現するのはあまりに難しすぎる。本1冊くらい軽くかけますな(笑)ブログなんかでなく、そのうち本にしよっと(笑)だいたいブログの範疇を超えてるぞ、この長文(笑)。たぶん数人しか全部読まないのでは??(笑)

ハッピーバースディー!トゥーツシールマンス!

もしもあなたが存在していなかったら、僕は確実にここにはいなかった。
もしもあなたがこんなにもがんばっていなかったら、僕は確実にハーモニカへの情熱を無くしていたでしょう。
あなたがずっとハーモニカが大好きだったからこそ、僕も胸をはってハーモニカが大好きなまま、たった今を過ごせてます。
あなたの志を受け継ぎ、僕はハーモニカを新たな地平へ導きたい。

そしてあなたの成し遂げてきた偉業がなければ、僕の仕事の需要は確実にほんの僅かしかなかったでしょう(笑)
だから半分はあなたに食べさせてもらっているようなもんです(笑)
ってことは!ある意味、あんたはおいらの「父ちゃん」だよ!(笑)
父ちゃん!!まだまだ、もっともっと生きててくれ!!
だって、まだおいらは父ちゃんと一緒にハーモニカ吹いてないんだもの・・・

今、この時でさえ、トゥーツの音楽を聴きながら、独りで焼酎片手に、こんなにも満たされた時間を過ごしているさ。

その、何もかもに、感謝してます。

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